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キリシマドリームファーム(林兼産業)株主総会で明らかに 妊娠ストール継続と動物福祉の課題

友人が2023年の林兼産業株主総会で、動物福祉への取り組みについて質問し、回答をいただくことができました。

目次

企業概要

日本最大級の黒豚農場であるキリシマドリームファーム(国産黒豚生産数の約15%を占めるとされる)は、林兼産業の100%出資子会社です。
同農場は霧島黒豚(キリシマドリームファーム)のサイトでも紹介されています。

林兼産業株主総会と動物福祉。質問の要旨、回答の要旨

事業報告書には、黒豚農場においてSQF認証を取得すると書かれています。
SQF認証ではアニマルウェルフェアが評価項目に含まれていると理解しています。
一方で、国内では日本ハムの農場における動物虐待が告発されるなど、日本の養豚現場での動物の扱いについて懸念が生じています。

そこでお伺いしますが、御社では現在、母豚の妊娠期間中に妊娠ストールを使用しているのでしょうか。(この時、議長が「妊娠ストール?」と聞き返す場面がありました)

妊娠ストールとは、母豚が妊娠期間中に方向転換ができない檻に収容する飼育方法であり、ヨーロッパでは動物虐待的であるとして禁止されています。日本国内でも、日本ハムは虐待問題を受けて妊娠ストール廃止を発表し、伊藤ハムや丸大食品も方針を明確にしています。

そこで御社に、現在妊娠ストールを使用しているのか、また今後の方針についてお聞かせください。

妊娠ストールについては、現段階ではまだ使用しております。

アニマルウェルフェアを含め、さまざまなご指摘を受けて検討はしていますが、現時点では具体的な方針までは決まっていません。

今後は、日本ハムなど大手企業の動きもあり、国内の養豚業界全体としても妊娠ストール廃止の方向に進んでいくと考えています。当社としても、できる限り世の中の流れに沿った形で事業運営を行っていきたいと考えています。

考察

今回の回答で明確になったのは、現在も妊娠ストールを使用していることを認めた点です。また、「検討中」とは述べているものの、期限・目標・代替手段のいずれも示されておらず、実質的には現状維持であることが読み取れます。

特に注目すべきは、「世の中の流れに沿って」という表現です。これは、企業として自主的に動物福祉に取り組む姿勢ではなく、外部圧力が強まれば対応する、という受動的な態度を示しています。自社としての倫理基準や経営方針が明確に語られていない点は、企業姿勢として課題があります。

また、SQF認証についても注意が必要です。SQF認証は、動物福祉の水準が高いことを担保する制度ではなく、「管理体制が整っているか」を中心とする認証であり、妊娠ストールの禁止を含む厳格な福祉基準を求める制度ではありません。実際、日本ハムのように、SQF認証を取得していても、重大な虐待事件が起きた例が存在します。

そのため、「SQFを取っている=動物福祉が十分」という理解は成り立たず、むしろ企業が自ら追加の基準や公開方針を設けているかどうかが重要になります。

今後の論点

今後、林兼産業およびキリシマドリームファームに対して、以下の点が焦点となります。

  • 妊娠ストールをいつまでに廃止するのか
  • フリーストールへの切り替え計画や投資額は公表されるのか
  • SQFに加え、独自の動物福祉基準を設ける予定はあるのか
  • 親会社として、子会社の飼育実態をどのように監査しているのか

妊娠ストール問題は「管理の話」ではなく、企業としての価値観の問題です。今後、同社が「流れに従う」立場から、「方針を示す」立場へと転換できるかが問われています。

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