友人が2024年のフジ株主総会で、動物福祉への取り組みについて質問し、回答をいただくことができました。
目次
フジ株主総会と動物福祉。質問の要旨、回答の要旨
- マックスバリュに卵を納めていた養鶏場で働いていましたが、そこでは鶏を投げたり叩きつけたりする行為や、病気や重傷を負った鶏が治療も安楽死もされず放置され、死に至るケースが日常的にありました。猛暑の日には、狭いケージの中で体温調節もできず、1日で200羽もの鶏が暑さで死にました。
こうした状況は国のアニマルウェルフェア指針や動物愛護管理法に反しており、改善を求めましたが、受け入れられませんでした。動物虐待に加担したくなかったため、私は職場を辞めました。
このような農場の卵を扱い続けることは、企業にとっても投資リスクであり、ESGやサステナビリティの観点からも問題です。そこで、仕入先農場を実際に視察し、動物虐待やコンプライアンス違反がないかを確認する仕組みを会社として整えてほしいと考えています。
また、平飼いの卵への移行も検討してほしいですし、少なくとも動物愛護管理法に違反している農場の卵は仕入れない体制を作っていただきたい。 -
アニマルウェルフェアの問題は、企業の社会的責任として、より踏み込んで向き合うべき重要な課題だと受け止めています。近年は、動物福祉だけでなく、フェアトレードなどを含めた倫理的な視点が、企業の販売責任にも求められるようになってきていると認識しています。
適切な仕入先から適切な商品を仕入れることは基本原則ですが、同時に食品流通には経済性という側面もあると考えています。
ご指摘の問題を軽視することなく、企業としての重要な課題の一つ、社会的責任の一項目として真摯に向き合っていきたいと考えています。現時点ではまだ取り組みが十分とは言えませんが、今後は一歩ずつ知見を積み重ね、対応を進めていきたいと考えています。
考察
今回の回答は、問題意識の表明に終始し、「何を・いつ・どの程度」改善するのかについては一切示されませんでした。昨年は「企業の社会的責任」と位置づけていたにもかかわらず、1年を経ても実務レベルでの進展が確認できない点から、アニマルウェルフェアが経営課題として十分に内部化されていないことが浮き彫りになっています。
特に深刻なのは、質問者が指摘した内容が「飼育環境」だけでなく、「病気個体の放置」「暴力行為」といった明確なコンプライアンス違反であるにもかかわらず、その点に対する言及や是正方針が示されなかったことです。結果として、社長個人の意識や姿勢に話題がすり替わり、企業としての責任や体制の問題には踏み込まれないまま終わっています。
次の論点
今後の対話では、抽象的な姿勢表明に終始させず、
- 調達卵のうち、平飼い・ケージフリー卵の比率を把握しているのか
- サステナビリティ基本方針に、アニマルウェルフェアを正式に明記する予定があるのか
- 問題が指摘された養鶏場に対して、監査・是正・取引見直しを行ったのか
- サプライヤーに対する行動規範や監査項目に動物福祉が含まれているのか
といった点を問い、社長の「認識」ではなく経営判断としての対応を引き出すことが重要になります。

